2019/08/01
明日から八王子祭りですね。
その前に、74年前の8月2日未明、八王子で何があったかを思い起こしてみませんか。
太平洋戦争末期の1945年8月2日、八王子はアメリカ軍のB29とP51による大規模空襲を受け、
一夜にして市街地の80%が焼け野原となりました。
落とされた焼夷弾の数は67万発ともいわれ、トン数にすると約1600トン。
これは同年3月10日の東京大空襲に匹敵する数量であり、市民1人当たりに対して10発の焼夷弾が落とされた計算になります。
空襲から2か月後の八王子を撮影した有名な写真と、空襲前に盛んに撒かれたという伝単(宣伝ビラ)をアップします。
私たちが平和に暮らしている八王子にもそうした歴史があり、先人たちの苦労の末に今があるのだと、
せめて8月くらいは思い返して感謝の念を深くしたいですね。
さて、その八王子空襲を体験された石井忠明さんが著書『ポチとター坊と焼夷弾―八王子空襲体験記―』を上梓されます
(A5判412P+口絵8P、1200円+税、揺籃社刊、15日発行、ISBN978-4897084190)。
空襲前後の20日間の出来事が克明に描かれています。
八王子市小門に生まれた石井さんは、小学校1年生のときに空襲に遭います。
空襲の前日まで母親の実家(藤野)へと疎開していたのですが、飼っていた仔犬ポチに逢いたいがために母におねだりし、
8月1日の夕方に八王子へ戻ってきたのでした。
父からは「なんで戻ってきたんだ!」とひどく叱責されたそうですが、ポチと再会できた喜びでいっぱいだったといいます。
その夜、大空襲に見舞われ、命からがら逃げた先で、ポチを小門町の家に置いていてきてしまったと気付きます。
はたしてポチはどうなったのでしょうか?
本書は、これまでに多数発行されている八王子空襲を記録した書籍とは一線を画す内容となっていて、
特長は空襲前後の何気ない日常がドキュメンタリータッチで詳述されている点です。
空襲はなぜ悲惨なのでしょうか。
それは人々が大勢死に、傷つくからであると同時に、日常が破壊されてしまうからにほかなりません。
その覆しようのない事実をここまで徹底して強調した著作は珍しいでしょう。
日常のかけがえのなさを再確認する意味でも、ご一読をお勧めします。