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電子書籍
書籍・雑誌の年間売り上げは毎年下がり続けています。2018年には、ピークだった1997年の半分以下にまで落ち込んでしまいました。一方、電子書籍の需要は高まっています。スマートフォンやタブレット端末が多くの利用者に行きわたり、デジタルネイティヴの成長も相まって、電子媒体で本や漫画を読むスタイルに世の中が慣れてきたという背景があるのでしょう。
実は、あまり知られていないのですが、当社でも電子書籍を取り扱っています。グーグル、アップル、楽天、アマゾンに配信可能です。グーグルとは直取引をしており、残りの3社へは学研プラスさんと業務提携して配信をお願いしています。
巨大IT企業の総称として、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)という呼び方がありますが、電子書籍の購入先としては、GARA、すなわちグーグル、アップル、楽天、アマゾンが4大勢力といえます。いずれもスマートフォンなどのデバイスにアプリをダウンロードして購入する方法が一般的ですが、アマゾンと楽天は電子書籍をより読みやすくするためのリーダー(端末)を独自に開発、発売しています。それぞれ「キンドル」と「コボ」という名前です。リーダーだけでいうと、ソニーも「ソニーリーダー」という端末を販売しています。5番手の勢力といえるでしょう。ちなみに、漫画に関しては、漫画大国の日本らしく販売サイトが乱立しており、何が何やら訳が分からないといった状態です。
さて、電子書籍の利点と弱点をいくつか挙げてみましょう。
●利 点
インタラクティブ=双方向で参加。発表する側と受け手側の境界が徐々に消え、創造性の高い社会になる
サブコンテンツ=物理的な制約がなくなるのでリンクや注釈が容易になり、本としてのポテンシャルが広がる
ムービー/サウンド=動画や音を流して、五感を楽しませる遊びの要素が生まれる。いずれは3Dも?
オンラインアクセス=つねに更新が可能。いつでもアクセスでき、好きな時に好きな本が量を気にせず買える
ブックマーク/検索機能=気になる箇所をチェックしておいたり、言葉の検索が簡単にできる
ダイナミズム=文字の大きさを変えたりして、読み手の好きな形式で読書できる。速報性・即時性も侮れない
製作コストの削減=印刷代・製本代が不要。大量の在庫を抱える心配がない。絶版がない。エコにも配慮
●弱 点
形として残らない=あくまでデジタルなので、印刷しない限り手元に置いてあるという感覚が薄い
質感がない=本の重さ、ページ数、紙の手触り、装丁など、それぞれの本が持つ特性が失われてしまう
目に悪い=ブルーライトを伴う液晶画面を長時間眺めていると目が疲れ、睡眠障害を起こすとの報告も
想像力が養われない=映像や音まで付いた本の場合、読者の想像する余地がなくなってしまう
データの消失=たくさん溜めた本のデータも、端末を落としたりして消えてしまったら何も残らない
一覧性の欠如=見える範囲(画面の大きさ)が限られるので、一度に並べて眺めたり、確認したりが困難
触れ合いの喪失=人と人との触れ合いが減る。本屋に行ったり図書館へ行く必要がなくなるから
どんなものにも一長一短があります。今後、何らかの本を出版しようと考えている方、あるいは一度出版した本を再版しようと考えている方は、電子書籍の利点と弱点をよく鑑みながら、選択肢の一つに入れておいていただければと思います。当社では、紙と電子、両方での出版が可能です(費用はご相談ください)。創作に携わる者にとって、これまで紙だけだった出版の形態に、新たな道筋として電子が加わったのは朗報だと思います。ぜひ上手に活用していただければと思います。
POD
(プリント・オン・デマンド)
通販サイト大手のアマゾンが手掛ける「POD」というサービスをご存知でしょうか。
PODとは、プリント・オン・デマンドの略称です。テレビ番組などでよく耳にする「オン・デマンド」という言葉。直訳すれば「要求に応じて」となります。プリント・オン・デマンドは、「注文に応じて印刷する」といった感じになりましょうか。
アマゾンPODのサービスを簡単に説明してみます。
①出版社がアマゾンに本のデータをアップロード
↓
②アマゾンのサイト上で本を宣伝・販売
↓
③お客さんが注文・決済
↓
④アマゾンがオンデマンド印刷機で印刷・製本
↓
⑤お客さんの手元に本が届く
このシステムが画期的なのは、出版社が在庫を持たずに済む点です。大手の出版社の場合、本をつくるに当たり、実売予測を立てて、それに応じて出版部数を決めます。単行本では5000部、文庫や新書なら1万部といった具合に。でも、予測はあくまで予測です。5000部刷っても全く売れなければ赤字になり、さらには大量の在庫を抱える羽目になります。出せば必ず売れる本など、出版不況のご時世、有名作家以外にはほとんどありませんから、出版社は毎回本を出すたびに賭け事をしているような状態です。こうした需給のミスマッチはどの業界でも見られる問題だとは思いますが、出版業界は特に顕著だといえます。
さて、アマゾンPODを見てみましょう。こちらは、お客さんが注文してから初めて印刷を行います。すなわち、需要と供給が常に1対1になる仕組みなのです。たくさん作っても売れる見込みはまずない、しかし世に出しておくだけの価値はある……そんな本にぴったりなわけです。売れない本なら電子書籍化しておけばいいではないか、と考える向きもあるかと思いますが、紙の本での購入を求める層がある一定程度は存在するため、そうしたお客さんたちにも訴求するのがアマゾンPODだといえるでしょう。今後は、絶版になった書籍や販売の見込めない本が、電子書籍とアマゾンPODの両方で売られるようになっていくのではないでしょうか。そこでヒットすれば初めて大量発行する……、そんな流れも出てくるかもしれません。
当社でも何冊かの本をPODで販売しています。とっくに絶版になった本を両面スキャンして、PODで販売しているケースもあります。自宅にもなく、古本屋と図書館でしか見当たらなかった本が正式に再販売されたと、著者からは大変喜ばれています。なにせ印刷が不要ですから、一般的な自費出版の製作費用の3~4分の1くらいの費用で製作できます。もし、ご自身で本のレイアウトや組版作業ができれば、より安価での出版が可能となるでしょう。アマゾンのサイトにアップされた本は、注文すれば大体が一両日中に届きますし、印刷・製本ともに品質はほとんど問題ありません。カラー印刷も可能です。
難点を挙げるとすれば、製本方法が表紙のみのソフトカバーに制限されているところでしょうか。ハードカバーの本はつくれませんし、カバーや帯も付けられません。いかにも効率優先のアマゾンらしいやり方です。価格もアマゾン側が決めます。ページ数によって、ペイするラインを判断しているようです。
新しい出版形態「POD」。ご興味のある方はぜひ当社までお問い合わせください。